【歌詞解釈】中村佳穂/きっとね! 影を肯定してくれる曲が表す”開放感”
「きっとね!」というこの曲、最初に聞いた時は妙に「陰鬱」さを感じる曲だな、とそう思いました。
メロディーの明るささながら。
「苦しいぐらいがちょうどいい」などと言われると。
なぜ秘密は多い方がいいのか。
そこに込められた意味を求めたら。
「あぁ確かにそうだな」と腑に落ちたので、そこまでの思考を
ここに書き出そうと思いました。
www.kkbox.com
中村佳穂というアーティスト
中村佳穂はフジロックの生放送でみたのと、インタビューを読んだ程度ですが
とにかくこの人はなんだか陽気なんだけども、どこか等身大な人物で。
アーティストとして、とても足元が付いているというか。
どこか不器用な面も今だにみえていて
どこかで、そこをある程度クリアしてやっとアーティストになったんだと、そういったインタビューの内容がとても面白かったです。
そういう人物像、アーティスト像も含めて、考察していきました。
歌詞考察
何度も何度も何度も触れる
いつか懐かしい場所に着いたなら何度も何度も何度も触れる
いつか好きな人ができたなら
触れるというのは「秘密に」ということでいいと思います
きっといつか、これからも何度も、必然的なきっかけで、自分の罪悪感の跡である、秘密に触れていく。
そういう、ところからこの歌は始まります。
きっとね!秘密は多い方が
どうだろう!優しくなれるかも
いつかね!思い出した時に
苦しいくらいが丁度いいの
そして、ここからサビへ、ここで思ったことなんですが、みなさんは「秘密」ってなんだと思いますか。自分の考えは最後に述べようと思いますが、それもひとつのテーマなのかなと思います。
影あるところに光あり。
秘密とはきっと影であり、それはある意味光を示す存在でもある。
だから光を持てる、優しくなれる
そうやって、穏やかにいきてるうちでも、どこかでまた影に苦しめられるかもしれない。
それでも、苦しめられた分だけ、光はまた強くなる。
そういう解釈をすると、とても腑に落ちるところがあります。
いき延びるたび
秘密あちこち街に隠したいの
いき延びるたび
掘り返しては味を確かめたいの
いき延びるたび
秘密あちこち僕から見つけたいの
いき延びるたび
とっておきの秘密を君に預けたいの
ここでまた、秘密の話
どこかに影を落としていく、また掘り返してく
そして、そうやってとっておいた、秘密をいつかの人に預けたい。
きっと自分もそうやって優しくなれたように、「あなた」も優しくなれるだろうから。
結局、秘密ってなんなんだとおもいますか?
秘密って優しさや罪悪感の成れの果ての一つ、だと思うんです。
悪い出来事があったとき、必ずではないですが、どこかで秘密が出来上がる。
「秘密は悪いものなのか」とこの曲を聴いて考えた時に
秘密より悪い状態があることに気づいたんです。
それは自分にすら何かを隠してしまうこと
つまり全てを忘れてしまおうとすること、自分にすら嘘をつくこととも。
それは「秘密」ではなく「大嘘」になってしまう。
そうするとその出来事では苦しむことはなくなるけども、もっと漠然とした巨大な苦しみが襲ってくる。大きな影が。
「秘密」とは自分の悪の証拠であり、それもちゃんと肯定すべき自分である。
だから目を背けずにしっかり掘り返して、目に見えるようにしておく。
ちょっと苦しいぐらいで、あとは自分にも相手にも優しくすればいい。
影を否定することはいつだってできない。
だから自分はこういう、影を肯定して歌ってしまう曲ほど、とても気持ちよくて開放感を感じます、もう非の打ち所がないですから。
そういう意味で自分の中で、とても名曲に感じます
そういう意味でこの曲は作られたんだと思います、きっとね(言いたかった)。